2006年05月15日

プログレッシヴロックCD:Queensryche [Operation Mindcrime II]

 クイーンズライクの2006年発表最新アルバム。1988年、ヘヴィメタル全盛期において、その流れにおいてさえ金字塔との呼び声が高いアルバム「オペレーション:マインドクライム」の続編。現代社会の病巣を描いたコンセプトアルバムという、クイーンズライクがそれまで発表してきたヘヴィメタルアルバムとは違ったプログレッシヴロックを全面的に押し出したその作風は、あらゆるプロミュージシャンからも絶賛され、元リークルーのニッキー・シックスもこの作品を称えたと言う。売り上げ枚数、なんと300万枚以上。ヘヴィメタルの歴史的1枚と誰もが思うほどの作品といわれ、やはり僕もそのように思ってしまう。
 今作はその続編「オペレーション・マインドクライムII」ということで、当然期待は強まる。18年も経った今、クリス・デガーモはいない。アルバムを出す毎にサウンドをヘヴィメタル、プログレ、グランジなどと様々に変化させてきた彼らの作品であり、昔のサウンドであって、昔の大傑作と言われたアルバムをこえる作品が出来るんだろうか、と。

 で、リリースされた当日に購入し、聴いてみた。プログレッシヴロックは一度聴いただけでは理解出来ない作りであるので、何度も聴く。そして発売されて2ヶ月近くたってようやくブログに書く。
 このアルバムは、正直言えば、前作ほどのインパクトがないというのが残念だ。そりゃもちろん前作とは発表された時代が違って、ロック界へ同じ影響を与えられるのは非常に難しいのは当然だ。そもそもロックが昔ほど流行っていないし、そもそもアルバムも売れる時代じゃない。
 しかし、それを差し置いてもこのアルバムの完成度、ストーリーは非常に繊細に良く練られており、今のクイーンズライクが解釈した「オペレーション・マインドクライム」の続きという意味では、文句はない。前作で描かれていたストーリーの続編として全く遜色なく、見事。前作の「全ての曲がシングルカット出来るほどのコンセプトアルバム」という徹頭徹尾完璧なアルバムを作ることはかなわなかったが、それでもこのアルバムは素晴らしい。音楽の幅が広く、またドラマティックな展開を持ち、そしてクイーンズライクが今まで重ねてきた音楽の集大成と言う意味でも多くのものを生かしきったアルバムである。
 #3「アイム・アメリカン」は鮮烈な歌だ。「何だって手に入れる俺はアメリカ人」という皮肉めいっぱいの歌。#7「スピード・オブ・ライト」はなんとグランジ。グランジに歩み寄った「ヒア・イン・ザ・ナウ・フロンティア」では従来のファンには嫌がられたサウンドだが、それを否定せずこの作品でこのように取り入れ、融合させたのは見事。#9「リアレンジ・ユー」では、ストーリーの盛り上がりに合わせて音楽もスリリングな展開のハードロックチューンに。#10「ザ・チェイス」はロニー・ジェイムズ・ディオがドクターX役で参加したハードロックナンバー。ドラマチックで、ハーモニーが映える。ディオとジェフ・テイト2人のオペラティックな掛け合い、ギターソロ、メロディライン、何度も繰り返し聴いた一番気に入ったナンバーです。そしてその次の#11「マーダラー?」のスタートが、もはや言うことなしという流れでつながってゆく。激しく終わって、しんみりと響いてくる。クイーンズライクのプログレッシヴロックであり、コンセプトアルバム足り得るには、このような流れが不可欠だ。#15「ジャンキーズ・ブルース」のスケール感は圧倒的で、聴き手に迫ってくるものがある。#16 「フィア・シティ・スライド」、しんみりと始まって、すぐにロックリフが心地よい。しかし歌詞は残酷だ。#17「オール・ザ・プロミス」、こんな結末、こんな音楽で終わるとは聴く前は想いもしなかった。

 このアルバムは前作とどうしても比較になってしまうのは致し方ない。本作品は、前作ほど強烈なインパクトを与えないかもしれません。特に「レヴォリューション・コーリング」や「アナーキーX」のような爆発的なインパクトはありません。しかしこのアルバムは、それに通じる傑作アルバムです。このアルバムなら、多くの人が満足することでしょう。大絶賛のアルバムです。ぜひ一度聴いてみてください。そしてストーリーを噛み締めてください。感動できるアルバムであると思います。

収録曲
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2005年12月31日

プログレッシヴロックCD:Dreamtheater「Octavarium」

ドリームシアターの2005年発表最新アルバム「オクタヴァリウム」。
ここ数年、キーボードのジョーダン・ルーデス加入以降のアルバムはすべてコンセプトアルバムであり、また本アルバムもコンセプトアルバムである。テーマはアルコール依存克服。
最近のドリームシアターの楽曲はギター偏重型のヘヴィ路線で、前作トレイン・オブ・ソートではその傾向が最も深かった。あまりにギターばかりで僕には重く、繰りかえし聴くことはなかった。でも今回、ギター偏重ではなくまたキーボードがメロディを作り、歌モノとしての部分が前に出たのは嬉しい変化である。
なによりも素晴しいのはリフだけではなくメロディが奇麗になっており、速く弾くことなくメロディックなギターソロが戻ってきたと言うこと。ジェイムズの声が沢山はいっていること。ジョーダンのキーボードが沢山あってドラマティックな展開があること。#4「アイ・ウォーク・ビサイド・ユー」の歌い上げの心地好さは爽快感があり、その次の#5「パニック・アタック」ヘと流れる鈍重な繋がりが素晴しい。
このアルバムは本来のドリームシアターとしての表情が沢山ふくまれており、メタル色よりもプログレ色がみえてきた。しかしそれでもかなりヘヴィな作品であり、ミドルテンポの鈍重なイメージはあまり前作と変わっていないというのが正直なところで、もっとプログレ色を前面にだしてほしい。それに、そろそろドリームシアターの楽曲はマンネリ化というのもあって、以前聴いたフレーズも目立始めてきた感じがする。アルバムの出来としてはもうひとつ、というところでしょうか。さすがに24分のタイトルトラックとか、プログレだからって、なあ。

収録曲
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2005年10月13日

プログレッシヴ・ロックCD:Frameshift [An Absence Of Enphathy]


ギター、ベース、キーボードと更に幅広い楽曲センスを見せ付けるヘニング・ポーリーが中心として活動するプログレッシヴ・ロックプロジェクト、フレイムシフトの2ndアルバム、「アン・アブセンス・オブ・エンパシイ」。2005年発表で、1stから1年。
参加ミュージシャンとしては、前回シンガーとして参加したドリームシアターのジェイムズ・ラブリエではなく、元スキッド・ロウのセバスチャン・バックを迎えて製作されている。
ジェイムズの後任として、セバスチャンはあまりにも歌い方のスタイルが違うんじゃないかなあ、っておそらく二人を知っている誰もが思うのですが、なんと違和感なし。なによりセバスチャンがジェイムズに負けず劣らず巧いし、ヘヴィロックではないプログレを歌っても映えるシンガーなんだ、ってすごく感動。
もともとジェイムズでこのアルバムを作ろうとしていたけれど、スケジュールの都合でセバスチャンをヘニングに紹介したのが今回のアルバムの製作経緯。仲違いではなくてよかった。ヘニングのもともとの曲ってのはもちろん1stしかしらないのだけれど、このアルバムではセバスチャン・バック色が色濃くなっており、それでも二人のセンスがこれ以上なく解け合い、呼吸のあった完成されたロックを見せ付けている。
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posted by しょうへい at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | プログレ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする