2007年10月04日

新書:関根眞一著「となりのクレーマー」

オススメ度:☆☆☆☆

クレーマー、いかにも腹立たしい存在であるのがこの手の人々。絡まれている店員を見るだけで気の毒に思えて仕方が無い。
本書は、クレーマー対応のプロである著者が1300件という経験から、クレーマーの手法とその対策を書いています。これが読み物として非常に面白いし、社会人であればこういう経験がどこかで役立つことにつながるんじゃないか、と非常に勉強になります。

僕は昔コンビニでバイトしていたときに、非常によく絡んでくる客がいたのを思い出しました。キレ易いホストとか。もうペコペコとするしかありませんでした。コンビニの夜勤バイトなんて、世間的に見ればダメ人間がやりそうだしなあ。そりゃ絡んでも文句言えないよな。自分でも思いますけれど。
しかし、どうにも怪しいクレーマーというのがいました。「袋に入れますか」と聞くと、「あったりめぇだろ!」って必ず怒鳴るのが。なんというか、その人、近くのデパートの店員だったりしました。接客して疲れて、そのストレス解消であるというのが見え見えで。もうしょうもない男もいたもんだ、と。その店に報復になんて行きませんでしたが、本当に絡み目的というしょうもないのもいるのです。

そういうしょうもない客の対応というのは本書にはほとんど載っていませんが、どちらかというとものすごく悪どい系のクレーマー対策とか、非常にスリリングな綱渡り状態の出来事を書いているのがものすごく面白い。これはぜひ読んでいただきたいくらいの作品で、クレーム対応に関する仕事をしている人には特におすすめしたい。特に第三話。車の移動時にダイヤのネックレスをしっかり返さなければならない、というくだり。

ただ本書を読んで、こういうクレームの付け方ってのは知らなかった。
服がすり切れたり靴下に穴があいたら、場合によっては交換してくれるんだね。5回履いて穴があいた靴下ってのは、安物しか履かない僕には珍しくもない体験なのですけれど。
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2006年12月26日

新書:藤川太著「サラリーマンは2度破産する」

 おすすめ度:☆☆☆☆
 いかにしてサラリーマンが、生涯苦労しつつもどうにか生活出来る老後を送ることができるのか。そのままいったら、2度、多くのサラリーマンは破産する。一度目は子どもが成長するとき、二度目は老後、である。長い目で人生設計をするための貯蓄の書。

 最近僕もサラリーマンとか色々な人生の出来事が待ち構えていて、こういう本を読んで、一生を手堅く生きてみないといかんなぁ、と思って手を出したのがこの一冊。タイトルの「破産」という言葉が僕にはちょっと恐ろしい言葉に感じるので(ウリ・ジョン・ロートも破産しましたし・・・)、無難な庶民はこういう本で勉強して、今後に生かそうと思います。
 とても象徴的なタイトルで、検索したところ結構よい評判の本で、手を伸ばしてみました。最近新書ブームということもあって多くの読者を意識したわかり易い言い回しや大きめな文字で読み易かったりして、ちょっと情報量としては少ないかと思ったら、密度は十分です。
 さてこの本ですけれど、人生設計をお金中心に考えたとき、普通の生活するにはこれだけかかるから、こういうふうにしてみるといいですよ、という一冊になっています。
 特に興味深い一つに、自動車を所有することで、維持費だけで1年の平均額が60万円、というもの。ガソリン、保険、駐車場、車検、税金、修理代、ということを考えての値段ですが、これだけかかるものを貯金すると言っていて持っていては到底できないわけだなぁ、と改めて実感し、クルマを手放しました。車検がきたからちょうど今クルマを僕は手放しているのですが、暫く買うのがおっくうになってしまいました。せっかく試乗もしたんですけれどもね。
 また面白い発想というか、どんな人も考えることに、「いつかはマイホーム」というのがありますが、それを著者は「マイホームだけがすべてじゃないよ」と書いています。ちょっと言い回しは違いますけれど。どういうことかといえば、仕事を都心でしていれば当然都心に住むことになり高い家を買うけれど、定年退職後に地方に移り住んでから、家を買う代わりの貯蓄と年金でアパート借りればいいんじゃない? という提案とか、非常に面白く興味深い。
 最後の方の株の話は興味がない方にはどうでもいいです。
 とにかく、貯蓄しろとかみさんに怒鳴られている人とか家をそろそろ買う人とか、人生設計を立て直したい方にはとにもかくにも読んでほしい1冊です。おすすめです。路頭に迷う可能性を、早めにつぶしましょう。
posted by しょうへい at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション・新書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月15日

新書「99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方」竹内薫

 2006年竹内薫著、光文社新書。世間の常識はほぼすべて仮説からなっており、それらを盲目的に信じすぎると、その仮説が間違っていたときに間違っていることに気づけなくなることに気をつけなければならない、というのが著者のいいたいことのようです。

 さてこの本、結構タイトルで既にずるいし、立ち読みして面白いところが一番最初に書かれている。何かといえば、「飛行機がなんで飛ぶんだか、科学ではぜんぜんわかってない」ということから始まる。この章を読ませれば著者の狙った「つかみはOK」ってやつで、手に取った僕はまんまとだまされてしまった。
 なんでずるいかといえば、あんまり中身がないからです。興味深い内容はいくつかあるんだけれど、それはただの知識の羅列であり、「ガリレオは天動説に意義を唱えたけど、その考えが認められなかったのは当時の仮説(常識)が邪魔していたからだ」というようなのがただひたすらたくさん並んでいるだけという印象があります。「仮説」という言葉を中心に捉えればどのようなこともそりゃ仮説の説明に収まるんだけど、なんだか途中でうんざりしてきてしまう。
 著者のきめ台詞は「つまり、こういうことです」というフレーズも、また出てきたなって感じで、飽きる演出。なんだか冗長な感じが拭えない。それに科学の話にあまりに偏りすぎていて、もうちょっと多面的な話があるんじゃないかと期待したんです。でもほとんどが科学。証明するとか反証出来る出来ないとかの部分も、ちょっと疲れてしまう。読み物としてわかりづらいというものでもないんですが、もう少しわかりやすく書いてほしい。「思い込みで判断しないための考え方」ってのは、この本ではほとんど身につかないかもしれません。
 でもまあまあ知識としては面白い部類に入るのかもしれませんけれど。マイナスイオンって本当は体にいいなんてわかってないとか。ロボトミー手術の話とかアインシュタインの話とか。
 できれば文系とか理系とか気にするような方ではなく、雑学とか好きな中高生とかに読ませれば、色々と興味をもつような科学の本としてはいいんじゃないでしょうか。
posted by しょうへい at 22:38| Comment(0) | TrackBack(1) | ノンフィクション・新書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月23日

ノンフィクション:清水潔著「桶川ストーカー殺人事件 -遺言-」

 2000年発表、新潮文庫刊。
 週刊誌FOCUSの記者である清水潔が、1999年に起きた桶川女子大生殺人事件についての取材を通して、事件の真相を暴くノンフィクション。

 最近判決が出た桶川ストーカー事件ですが、この本を読むことで事件がどのように起こり、それまでは被害者はどうしようもできなかったストーカー規制法が施行され、またそれに留まらず警察内部の腐敗を取り上げたという功績は大きい。この清水潔記者がいなければ桶川女子大生殺人事件は迷宮入りになっていた、いやお蔵入りにされていたのである。それまで、日本の警察は検挙率ナンバー1で、警察が入れば日本は世界で1番安全な国であると言われていたというのに、この事件以降は警察の不祥事が相次ぐこととなり、この埼玉県警、神奈川県警、叩けば埃だらけと言う救いようのない腐敗しきった警察の裏側が垣間見えることなります。全てがこの記者のおかげとは言いませんが、警察がこの事件以降信頼されなくなったのもこの頃からでしょう。
 この本を読んでの感想は、著者が言いたい、伝えたいことが、文章を通して肌に伝わると言うか、わかった気になります。中でも感じられる絶望感というものは、被害届や告訴を出しても警察に無視し続けられた、という出来事でしょう。僕ら一般市民がなにかに困ったとき、身に暴力の危険が迫ったときに浮かべるのは他でもない警察です。しかしその警察は一切取り合わず、それどころか隠蔽工作をし、事件を隠したのである。結果、事件は起こってしまった。この事件は、犯人と同等の悪は警察の怠惰である。警察から見放されることの絶望感というものは本当に恐ろしい。なんの非もなく日常を侵されたとき、対処のしようがないとき、警察にしかすがれないというのに。どれだけ恐ろしい日常だったのだろうか、酷い話だ。
 この作品がノンフィクションでなければ、と思ってしまうほど、作品としてはまとまっており、その上ノンフィクションだというのだから事実は小説よりも奇なりである。僕は小説なのではないか、と思いながら冒頭を読んだくらい出来すぎた話で、最初は事件が起こって休日返上で取材に走る著者の姿から始まる。そして事件が不自然であるということに気づき、調べてゆくとこの事件がどうにも気になってしまう。そして他には誰も接触出来なかった被害者の友人へ取材が出来た。また著者は被害者をゴシップ好きの週刊誌というイメージの、被害者を悪いように書いたりしないから感謝される、ということはまるで小説かとでも思ってしまうキャラ設定。しかしノンフィクションである。取材の進展が進まないときはTという男が情報提供をしたり、犯人を捜している100人の捜査員が見当たらないのは捜査自体が嘘であるのではないかと言った推理小説でも読むようだった。
 今後このような事件が起きないのであれば、と願う他ない。このようなスタンスで取材をした清水潔が日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞を受賞するのは当然のことでしょう。
posted by しょうへい at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション・新書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする