2007年09月29日

海外文学:アーネスト・ヘミングウェイ著 沼沢洽治訳「エデンの園」


アメリカ文学のヘミングウェイの遺作。1950年前後に書かれたとされ、編集され大幅に手を加えられて出版された。

<あらすじ>
フランスの作家デイヴィッド・ボーンとその妻キャスリンは新婚旅行をしながら小説を書き続けていた。その旅行の途中出会ったマリータという女性と二人との三角関係を描く。

オススメ度:☆☆☆

この訳は場面転換とか状況説明がどうにもわかりづらい。それにキャスリンの精神状態は特殊で、心の動き幅があまりにも大きいうえ突飛な行動が多いので、一行後には真逆のことを言い出したりするから、それを理解するのに一苦労というのが読んでいて辛いところでした。
文学だけあるので、どうせ最初半分はどうでもいい導入部分ですから辛いのなんのって。面白くもないし、主要人物のマリータが出てくるのもその辺りで、そこらへんから読み始めてもいいくらいに感じます。ただしその部分からどんどん面白くなっていくというのが素晴らしい。
この小説の面白い仕掛けは、主人公デイヴィッドが小説家であるということで、作中で小説を書き上げて完成させてゆくところが非常に面白い。なんというか、惹き込まれる、なあ。
この最後は最後で、これなりに納得出来るような感じですし、なかなかいい作品でした。

しかし、しかし。
この作品の訳者あとがきを読むと、遺稿だから実は編集で1/3まで削っていて、本当は登場人物が一人減っているとか。それだけ手を入れたらもう別の作品なんじゃないんだろうか、と感じてしまった。
もともと未完成な部分が大きかったからそうなっちゃったんだろうけれど、うーん・・・。

ということですが、紛れもないヘミングウェイ文学と呼ばれる作品です。
まあ、ヘミングウェイの他の作品から読んだ方がいい、と思いますけれど。

ちなみにBGMはエクストリームのアルバム「ウェイティング・フォー・ザ・パンチライン」でしょうか。
このアルバムのグランジに浸りきったファンクメタルの不安定な雰囲気がこの小説にやや合っている、かもしれません。
ギタープレイはヌーノ・ベッテンコートの息をのむようなプレイも紛れ込んでいて、当時のアルバムリリースの時代はうんざりするようなシアトル風サウンドがブームとなりそのサウンドに染まっては消滅していったロックバンドが多く、「ヘヴィメタルはグランジに殺された」と言われるほどの時代、その中で時代に流されるようにエクストリームもグランジサウンドに寄っていくのですが、非常にクールな表現をしていたのは数あるバンドでもこのバンドのグランジサウンドくらいかもしれません。もともとリズム感が非常に良いギタリストのヌーノのサウンドメイキングとゲイリー・シェローンの声質はどのシーンでも通用するものだったということもあり、サウンドカラーが前作「スリーサイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー」と180度違っていても、エクストリームらしさを損なっていないのです。
しかしクイーンズライクやロブ・ハルフォード、ジョージ・リンチまでもを路頭に迷わせたグランジサウンドに脚を踏み込んでしまった以上、もう戻れない。このアルバムを最後としてエクストリームは解散する。そしてゲイリーはその後なんとサミー・ヘイガーの抜けた後のヴァン・ヘイレンへ加入するという時代でした。その後ゲイリーはまたもやヴァン・ヘイレンを脱退するという悲劇に見舞われる。
その流れが、なにかこの小説といくつか一致するような気がしました。決して似たりするわけでもないし、重なるというものでもないけれども、登場人物やら著者やら、それらを取り巻くという流れに皮肉的なものを。

合うか、と言われたら微妙かもしれないけれども、これを不思議とBGMにしたらいいと思います。「エデンの園」には良ければ一緒にエクストリームの一枚を。
posted by しょうへい at 22:12| Comment(0) | TrackBack(1) | 重金属的文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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