2007年09月30日

洋画:ダークワールド

原題・・・Darkworld

制作・・・テッド・チャルマース
監督・・・デヴィッド・パルミエリ
脚本・・・アダム・ハックバース
音楽・・・スプリング・クロック・ワンダー

ファロン・・・泥棒の最中見つかり、射殺される
クレイトン・ディッグス・・・
シックス・・・魂を集める男
マラカイ・・・ファロンを射殺する
フェイス・・・ファロンの妹、マラカイの友人
ブライアン・・・フェイスの恋人、ファロンと泥棒を行った

<あらすじ>
人は自分の魂と引き替えに何を得るか。
3人で泥棒をして小銭を稼ごうとしたが、住人に見つかってしまい、一人逃げ遅れたファロンはその場で射殺される。
そのファロンの父親は返せない借金の取り立てにあい、取り立ての男は「娘のファロンの魂をよこせ」と言ったのである。その魂は奪われ、5年間の記憶も抹消され、悪魔の使者と成り果てていた。
そのファロンは実の妹を殺すと言う命を受けたが、裏切り、妹と逃げる道を選択した。
その二人の魂を奪いにくる異形の者たち相手に、果たして生きていけるのかを問う、魂を集める悪魔たちとの対決アクション映画。

オススメ度:☆

まあいいけどね、こういうカルトアクションぽくみせたコメディ。コメディに間違いない。
とにもかくにもアメリカンなこういう映画のノリってのはたまに日本の空気を呼んで間を持たせるギャグ漫画みたいに描かれる。それを実写でやられるとたまらなくヌルい感じで、それが嫌で嫌で。ようするにつまらん。
なにがいいか悪いのかってのは、カネかけてないからってことに落ち着きたい。
予算が少ないってのはやっぱりB級にしかならない。それを狙っていてももちろんいいけれども、もうちょっと楽しみがある映画を求めていたっていうか、なあ。
これが続き物ってのがまた辛いところ。
特殊なB級好きな方にのみオススメ。
セクシーでもねぇこんなん面白くもなんともないってのが僕の感想です。
パッケージ写真とか非常に良く出来ているのに、アマゾンドットコムにはこの商品が見当たらないしなあ。
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2007年09月29日

海外文学:アーネスト・ヘミングウェイ著 沼沢洽治訳「エデンの園」


アメリカ文学のヘミングウェイの遺作。1950年前後に書かれたとされ、編集され大幅に手を加えられて出版された。

<あらすじ>
フランスの作家デイヴィッド・ボーンとその妻キャスリンは新婚旅行をしながら小説を書き続けていた。その旅行の途中出会ったマリータという女性と二人との三角関係を描く。

オススメ度:☆☆☆

この訳は場面転換とか状況説明がどうにもわかりづらい。それにキャスリンの精神状態は特殊で、心の動き幅があまりにも大きいうえ突飛な行動が多いので、一行後には真逆のことを言い出したりするから、それを理解するのに一苦労というのが読んでいて辛いところでした。
文学だけあるので、どうせ最初半分はどうでもいい導入部分ですから辛いのなんのって。面白くもないし、主要人物のマリータが出てくるのもその辺りで、そこらへんから読み始めてもいいくらいに感じます。ただしその部分からどんどん面白くなっていくというのが素晴らしい。
この小説の面白い仕掛けは、主人公デイヴィッドが小説家であるということで、作中で小説を書き上げて完成させてゆくところが非常に面白い。なんというか、惹き込まれる、なあ。
この最後は最後で、これなりに納得出来るような感じですし、なかなかいい作品でした。

しかし、しかし。
この作品の訳者あとがきを読むと、遺稿だから実は編集で1/3まで削っていて、本当は登場人物が一人減っているとか。それだけ手を入れたらもう別の作品なんじゃないんだろうか、と感じてしまった。
もともと未完成な部分が大きかったからそうなっちゃったんだろうけれど、うーん・・・。

ということですが、紛れもないヘミングウェイ文学と呼ばれる作品です。
まあ、ヘミングウェイの他の作品から読んだ方がいい、と思いますけれど。

ちなみにBGMはエクストリームのアルバム「ウェイティング・フォー・ザ・パンチライン」でしょうか。
このアルバムのグランジに浸りきったファンクメタルの不安定な雰囲気がこの小説にやや合っている、かもしれません。
ギタープレイはヌーノ・ベッテンコートの息をのむようなプレイも紛れ込んでいて、当時のアルバムリリースの時代はうんざりするようなシアトル風サウンドがブームとなりそのサウンドに染まっては消滅していったロックバンドが多く、「ヘヴィメタルはグランジに殺された」と言われるほどの時代、その中で時代に流されるようにエクストリームもグランジサウンドに寄っていくのですが、非常にクールな表現をしていたのは数あるバンドでもこのバンドのグランジサウンドくらいかもしれません。もともとリズム感が非常に良いギタリストのヌーノのサウンドメイキングとゲイリー・シェローンの声質はどのシーンでも通用するものだったということもあり、サウンドカラーが前作「スリーサイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー」と180度違っていても、エクストリームらしさを損なっていないのです。
しかしクイーンズライクやロブ・ハルフォード、ジョージ・リンチまでもを路頭に迷わせたグランジサウンドに脚を踏み込んでしまった以上、もう戻れない。このアルバムを最後としてエクストリームは解散する。そしてゲイリーはその後なんとサミー・ヘイガーの抜けた後のヴァン・ヘイレンへ加入するという時代でした。その後ゲイリーはまたもやヴァン・ヘイレンを脱退するという悲劇に見舞われる。
その流れが、なにかこの小説といくつか一致するような気がしました。決して似たりするわけでもないし、重なるというものでもないけれども、登場人物やら著者やら、それらを取り巻くという流れに皮肉的なものを。

合うか、と言われたら微妙かもしれないけれども、これを不思議とBGMにしたらいいと思います。「エデンの園」には良ければ一緒にエクストリームの一枚を。
posted by しょうへい at 22:12| Comment(0) | TrackBack(1) | 重金属的文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月28日

相次ぐ芸能人結婚

芸能界はなんだかやたらと結婚ラッシュですね。

V6のイノッチと瀬戸朝香が結婚(2007年9月28日23時22分 読売新聞)かあ。両方結構すきだけど、特に瀬戸朝香は好みの女性だから注目してたんだよね。この二人ってなんだか雰囲気がよさそうだなあ。

佐藤藍子も結婚(2007年9月26日21時54分 読売新聞)とは。女優としてはほとんど知らないんだけれどね、実は。でも特徴的な耳でちょっと注目してたんだよな。イメージいいしね、この人。

それと田中美奈子(2007年9月26日10時33分 読売新聞)か。旦那7つも年下とは。いまやそれも普通なのかもしれないけれど。

ちょいと注目の結婚のラッシュだなあ。みんなお幸せに。
posted by しょうへい at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月24日

SCORPIONS [Humanity Hour I]


ジャーマンロック界大御所スコーピオンズの2007年最新アルバムは、なんとデズモンド・チャイルドがプロデュースした作品です。

オススメ度:☆☆☆☆☆

非常にいいアルバムで、メロディアス・ハードという言葉を表すにはこのバンドが最古であると言ってもいいでしょう。メロディの秀逸さは抜群だしクラウス・マイネの美声はほぼ還暦であるという事実を感じさせないほど若い。
古くはマイケル・シェンカーも参加し、次にはあのウリ・ジョン・ロートも参加していたこのバンドは、40年という長い活動を続けており、このアルバムでこのバンドもついにデズモンド・チャイルドと今作組むにあたり、スコーピオンズらしさはいくらか抑え気味であるといわれているが、しかしそれでもこれは間違いなく名アルバムに数えられる完成度を誇る。

#1「Hour I」はミドルテンポのモダンヘヴィなリフ主体の曲で、耳に残るリズムと安定感を示す。僕はスコーピオンズほとんど知らないんだけれども、こんなにモダンヘヴィな音作りとは知らなかった。しかしそれがよくて、思った以上に気に入ってしまう。この曲でいいアルバムだと期待させられました。
#2「The Game Of Life」の冒頭が非常にかっこイイ。歌いだしのバックで静かなバックのギターがポーンと鳴る瞬間に凄く次への盛り上がりの期待があり、その盛り上がり方も当然非常によい。こういうコーラスワークを取り入れたサビって大好きです。一緒に歌いだしたくなる。
#3「We Were Born To Fly」、非常に美しい曲で、メロディよしのパワーバラード。空間的な広がりを持つ傑作曲。さすがデズモンド・チャイルドプロデュース。売れる曲の作り方がよくわかっているし、サビもギターソロもなにもかもが良く揃っています。
#4「The Future Never Die」、どうしてもこのバラードの歌い方がスピッツの声みたいに聴こえて妙な感覚を受けます。
#6「321」、これもモダンヘヴィなリフながら、非常にノリの良いリズムと盛り上がる展開をしている非常に良い曲で、サビなんてびっくりするほど耳に残ります。僕のiTuneではこの曲が一番多く再生回数がカウントされています。
#7「Love Will Keep Us Alive」も名バラード。キーボードも生かしたバンドサウンドが生きて、クラウス・マイネの声を引き立てます。これも特にお気に入りの曲ですね。

これら名曲ぞろいの一枚、絶賛にしてオススメです。ぜひ一度聞いてみていただきたい。

公式サイトリンク:http://www.the-scorpions.com/
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2007年09月23日

洋画:不都合な真実


2006年米、元アメリカ副大統領アル・ゴアが環境問題に取り組む講演と、それにまつわるエピソードで環境危機を「不都合な真実」とともに語るドキュメンタリー。

オススメ度:☆☆☆☆

あのとき、日本人から見てもブッシュよりもアル・ゴアの方が共感出来ることを言っていたような気がする。投票数でもアル・ゴア、でもブッシュが買って大統領になった。まあなんとも。
特に昨今、ブッシュ批判は非常に強いし、それに乗じてアル・ゴアが再びこのドキュメンタリーで日本でも久しぶりに名前を聞かせることになったかと思えばブッシュの批判まで含んでいる。
というのはこのドキュメンタリー映画の本質ではないけれど、そういうところも注目していいかもしれない。

さてこの映画は、日本でもたくさんテレビやラジオやらで取り上げたのでご存知の人も多いと思う環境問題が今どのくらい深刻なのかを訴えたもので、この講演を世界中でもやっているというのは知らなかった。その講演とゴアの生い立ちや学生時代の研究が環境問題だったとか興味深いことが聞ける。
テレビで何度も放映されたキリマンジャロの雪とか、そういうのが含まれていて、どれだけ環境問題が深刻化しているか、ということが描かれている。
これをみればクーラーから扇風機に変えてみようとかハイブリッドカーにしようとか感じる人も多いはず。ハイブリッドカーって作るときと壊すときにも二酸化炭素を普通の車と比べてたぶんたくさん吐き出すから、どの程度効果があるのかわからないということもあるけれど、それでも長年乗って製造・排気分以上に燃費を良くしたいよな。僕は徒歩とチャリと電車で車なんてもってないけどな。

この映画も批判がある。ゴアの家のプール代金が数十万だとか、まあ色々。金持ちだし、なあ。
それよりも、地球温暖化なんて大したことじゃない、「環境危機ってのは煽り過ぎだ」っていう学者みたいな人もたまにいるように感じてしまうんだけれど、なんでなんだろう。
北極の氷が溶けても別に影響ないよ、って言うけれど。でも実際に温暖化しているように感じるし、事実として日本の真夏日なり熱射病で倒れる人の数は年々増えているし。確実に影響を及ぼしているこの世の中でこういう環境問題に対して「深刻な危機的状況だ」というのは多分正しい。
アル・ゴアの講演は大げさだかもしれないけれど、それでも深刻であるということを伝えなきゃならないとは思いました。

どうでもいいけど、最近太陽電池で中に入れた電池を充電出来るLEDペンライトを買いました。満タンの8時間照らすために明るい日差しを20時間充電だけれども、こういうのを買おうとはやっぱり思えますね。災害時にも役立つだろうし。って言っても安物だからチャチくて、いざってときに使えるのか不安もあるんだけれども。ま、これがあればエネループじゃなくてもいいからうれしいんだよね。

とにかくみんなに見てもらいたいドキュメンタリー、これは教材に使ってもいいし親子でも見てほしい。一つひとつの家庭で少しずつやっていかなきゃならない時代、いまや日本は自国で決めた京都議定書の目標値を守ることさえ出来ていないのだから。

参考:
日本語公式サイト:http://www.futsugou.jp/
allcinema:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=325452
posted by しょうへい at 21:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月20日

海外文学:カフカ著「変身」高橋義孝訳と筋肉少女帯「人間のバラード」


<あらすじ>
ある朝、目覚めるとまじめな会社員グレーゴル・ザムザは自分が巨大な虫に変わっているのを発見した。当然家族と暮らすグレーゴルでは家族に警戒され部屋に閉じ込められ、食事も飼っている虫と同じようなものが与えられた。そのうち精神もなにもかもが虫になりつつある自分に気づきつつも元の自分に戻れる日を待ち続ける。
異常な事態の不条理さを描いた、人間の心理をえぐる文学。

オススメ度:☆☆☆☆

なんというか、当然こんな身体が変身して不条理さを描くような話に不快感を持たないはずはないんだけれども、これがなかなか面白い。主人公グレーゴルの人格やら仕事に対する想い、家族への思いやりとかを事細かに書いていて、当然感情移入もしてくる。身体を悪くして働けない親の代わりに大黒柱となって家族のために働くサラリーマンとなって汗して、そして妹を進学させるために誰にも言わず貯金していたという泣ける男である。だが虫に変身して家族に嫌われ、当然巨大な虫では家から出ることも出来ない。そうなればグレーゴルを応援したくなるのである。虫になるまでは愛されていたが、虫になった途端家族から嫌われ、むしろ憎まれるほどになっているというこの不条理さ、世知辛過ぎるストーリーを見事に描いている。グレーゴルを哀れまずにはいられない。


この物語にはやっぱり筋肉少女帯の「人間のバラード」という、人間に生まれ変わりたかったのにまた虫に生まれ変わってしまったという歌。コンセプトアルバム「サンフランシスコ」収録曲。このストーリーにはこの悲しさを歌ったものがぴたりときますな。筋肉少女帯のコミカルな雰囲気を醸し出している中に実はものすごくダークなカラーが入った歌詞が、妙にこのカフカ文学とはマッチしているところがいいですね。ぜひ合わせて聞いていただきたいですな。
posted by しょうへい at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 重金属的文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月14日

骨伝導つきメガネ現る

タイトル通りだそうです(Cnet 2007/09/13 10:37)
 ビジョンメガネ(永池善夫社長)は、業界初の骨伝導スピーカー付きメガネ「MYDO eyeSonic(マイドゥ アイソニック)」を9月15日に発売すると発表した。価格は1.60非球面レンズ付きで3万8000円。ビジョンメガネ全店で販売する。
僕もメガネが手放せない体ですしポータブルプレイヤーもほしいですから、このアイデアは非常に良いところに目をつけたって感じで好感触。メガネを次ぎ買うときは、ちょっと試着てみたいものですな。
posted by しょうへい at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月10日

ポリー my love


原題・・・along came polly

監督・脚本・・・ジョン・ハンバーグ

ルーベン・フェファー(ベン・スティラー)・・・保険業でリスク査定担当
リサ(デボラ・メッシング)・・・ルーベンと結婚するが新婚旅行で浮気
サンディ・ライル・・・ルーベンの友人、売れなくなった俳優
スタン・・・ルーベンの上司
クロード・・・浜で裸の男
ポリー・プリンス(ジェニファー・アニストン)・・・ダニーの中学時代の同級生

<あらすじ>
ルーベンとリサは幸せな結婚式を挙げた。
二人は新婚旅行でビーチで泳いでいたところ、丸裸でふたりをダイビングに誘うクロードという男が現れた。リサだけクロードの船に乗り、ダイビングをすることになった。
しばらくしてクロードの船にリサを迎えに行ったルーベンは、その浮気現場を目撃してしまう。激怒したルーベンはそのまま新婚旅行から帰宅する。
そして会社へ出社したところで、事態はすでに社員全員が知っていた。ボスのスタンがルーベンに新しい仕事を頼むことにした。
帰宅したルーベンの家にサンディが訪ねてきて、とあるパーティに誘われ、ついて行ったところでウエイトレスをしていたのがポリーという中学校で同級生だったポリーっだった。彼女を気に入ったルーベンは、彼女を口説こうと決めたのだった。

オススメ度:☆☆☆
まあまあで悪くない。ジェニファー・アニストンは大好きですから。
ベン・スティラーのコメディな風味が抑え気味なのが少し残念に感じてしまうけれど、それはそれで十分楽しめる。売れない俳優と絡むところはおもしろいところなんだけれど、メインはラブコメディのラブにおかれているので、ちょいと残念。まあ新婚旅行で浮気されるなんて喜劇以外の何でもないけれどもね。
まあそのくらいでしょうか。最後のシーンのサンディのシーンが特徴的で気に入りましたね。
たまにはこういう抑え気味なベン・スティラーが出ている映画もいいですね。
しかしキャストも悪くなく節々に見られるコメディセンスはなかなかなのに、どうして映画は退屈な感じが出てるんだろう・・・。必殺のギャグが不足しているからかな。あるいは脚本がさほどでもないってところかな。わかんないけど、正直もうすこしがんばってほしかったかな。

こういう邦題にするセンスってのがとにかく気に入らないけどな。
posted by しょうへい at 20:42| Comment(0) | TrackBack(1) | 洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月04日

海外文学:ヘミングウェイ著「老人と海」福田恆存訳、FRAMESHIFT「La Mer」、或いはドビュッシーの「海」

ノーベル文学賞受賞作家アーネスト・ヘミングウェイの作中最も名高い本作「老人と海」。
老いた漁師サンチャゴが85日という不漁を乗り越える4日間のサメとの対決を描く人間ドラマ。

オススメ度:☆☆☆☆☆

初めて読んだのは高校2年生の時だった。
この蒸し暑い夏、家にいてもどうしようもないときに久しぶりに読んだ。喫茶店で手にしていた一冊がこの「老人と海」であり、涼しい喫茶店の中で読むヘミングウェイは素晴らしい時間をもたらしてくれた。うん、これは紛れもない傑作であり、歴史に名を残していて多くの人が愛している一冊である。
この主人公サンチャゴの描写がとにかく大好きで、この描き方には心が惹かれる。描写がハードボイルドだからという小説の手法のことではなく、漁がうまくいかなくなり周囲から「老いぼれ」と思われながらも漁をひたむきに続けている姿は格別の味わいを持たせている。気に入った文章は1ページ目の
かれは年をとっていた。
から始まり、
 この男に関する限り、なにもかもが古かった。ただ眼だけがちがう。それは海と同じ色をたたえ、不屈な生気をみなぎらせていた。
この文章がもうたまらなく好きで、渋みが迸っている。こういう年の取り方って憧れるなあ。
ストーリーはサメとの対決を描くもので、これがなかなかのアクション的な描き方をしていて、情景がまるで眼に浮かぶのである。どうしてかこれが眼に浮かぶのか不思議だけれども、そこが作品の楽しいところ。サメを追いかけ航海を数日かける場面ではもどかしいくらいに読者を待たせ、サンチャゴが感じた長い一日を見事に読者に感じさせるような所もまた見逃せない醍醐味である。そして倒したサメが、港に戻るときに別のサメに襲われるところの緊迫感にはたまげさせられる。見事な迫力である。

この作品には広大な音楽が欲しい、と思った。僕の中ではフレイムシフトのアルバム「アンウィーヴィング・ザ・レインボウ」収録のの#7「La Mer」、ずばり「海」なんていいんじゃないかと思いました。フレイムシフトの演奏には確かに海を感じさせる大きな海原を感じさせるものがあると思います。海のスケールにはピアノの響きとジェイムズ・ラヴリエのオペラ歌唱法は見事なマッチです。

ちなみに、本文にこういう下りがあります。
 海のことを考えるばあい、老人はいつもラ・マルという言葉を思い浮かべた。それは、愛情をこめて海を呼ぶときに、この地方の人々が口にするスペイン語だった。海を愛するものも、ときにはそれを悪しざまにののしることもある。が、そのときすら、海が女性であるという感じはかれらの語調から失われたためしがない。もっとも、若い漁師たちにあるもの、釣綱につける浮きのかわりにブイを使ったり、鮫の肝臓で大もうけした金でモーターボートを買い込んだりする連中は、海をエル・マルというふうに男性あつかいしている。かれらにとって、海は闘争の相手であり、仕事場であり、あるいは敵でさえあった。しかし、老人はいつも海を女性と考えていた。それは大きな恵みを、ときには与え、ときにはお預けにするなにものかだ。たとえ荒々しくふるまい、禍いをもたらすことがあったにしても、それは海みずからどうにもしようのないことじゃないか。月が海を支配しているんだ、それが人間の女たちを支配するように。老人はそう考えていた。
この文章も印象的で好きで、なるほどスペイン語の場合海は女性名詞なのか、と。この歌もまたラ・マルなのだ。

もうひとつだけ。
この「老人と海」には、ドビュッシーの交響曲「海」も間違いない。ドビュッシーがフランス語だとかはよくわからんけれど、ともかく3部の「風と海の対話」は素晴らしい。低音のうなりが波を表し、というのはもう説明する必要さえ無いことでしょう。

20世紀文学の傑作であり、それでも短めの文庫一冊にまとめられていて非常に読み易い。訳も非常にわかり易い。オススメの一冊です。
posted by しょうへい at 19:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 重金属的文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月03日

ハードロックCD:TNT [The New Territory]


2007年ノルウェー発ハードロック。
ロニー・ル・テクロ(ギター)、ディーゼル・ダール(ドラム)、ヴィクター・ボルグ(ベース)、トニー・ミルズ(ボーカル)の4人編成ロックバンド。

モーティ・ブラック(b)が抜け、ついにはトニー・ハーネル(vo)までもが脱退し、いまやバンドの屋台骨を支えるオリジナル・メンバーはロニー・ル・テクロ(g)とディーゼル・ダール(Dr)という事態に直面したノルウェーのハードロックバンド、TNT。
特にこのトニー・ハーネルなくしてはTNTではないというほどの影響のある人事だったわけで、歌も当然、サビなどのソングライターとしても重要な役割を担っていた。ファンとしては、致命的であると思わないわけにはいかない。
しかし今回この新作「The New Territory」を聴いてみれば、その思いもかなり和らぐ。新しくシンガーとして迎えられたのはトニー・ハーネルと同じくらい長いキャリアをもつ英国人シンガートニー・ミルズ。ミルズは非常にハーネルと声質が似ていて、響きは当然違うものの、今までのハーネルが歌っていたカラーや雰囲気を損なわずに新生TNTとして生まれ変わったと前向きに受け入れられる一作。

オススメ度:☆☆☆☆

#1「ア・コンスティテューション」のエスニックで教会的な雰囲気はロニーらしいひねくれた曲作りが光る。ギターソロも変でリフも変。特徴的ながらオープニングには合っているみたいです。この曲を聴く限り、トニー・ミルズはトニー・ハーネルの声によく似通っていて声域も近く、見事に代役となっていると感じることが出来て、正直安心しました。ただ個性やパワフルさで言えばかなわないかもしれませんけれど。
#2「サブスティテュート」、この立ち上がりがとてもよい。じわりじわりとにじり寄ってくるイントロに刻み込むリズミカルなリフ。そのまま見事なハーモニーを交えたコーラスワークのサビへと流れるのが心地よい。そのあとのリフがまたかっこ良くて、素晴らしい一曲。TNTらしい一曲です。
#5「サムシング・スペシャル」、いかにもな'90年代的TNTを彷彿させる楽曲。
#6「ナウ・ウィア・トーキング」、刻むクールなリフとラップ調な歌唱が目立つ曲で、これがかっこ良過ぎる。ハーネル時代には無い味付けがここでもっとも引き出された形となった素晴らしいロックソングで、サビもバッキングもリフもソロもコーラスもノリもリズムも、どこから切ってもセンスの良さが滲んでくる、新生TNT時代を感じさせる代表曲となってもいいはずのくせになるナンバーです。
#7「ワイルド・ライフ」、これもいい曲なんだ、立て続けに良曲が並べられるこのアルバム、やっぱり大好きな一枚になりました。爽快感のあるポップナンバーですが、ギターのコードがしっかりと音楽を支えて彩っており、またソロにセンス溢れるリズムで、サビのあとのソロの後ちょいとテンションが変わるところなんて素晴らしい流れで、これはまたいい曲を作ったな、と正直思えます。
#9「ジューン」、ゆったりとしたバラード。こういう幅広な音楽を一枚のアルバムに収めているから色々な層のファンがいるんだろうし、逆にハードな面しか好きじゃない人には半端に思えるのかな、と思えなくもないですね。でもこれもTNTだ。
#10「2セカンズ・アウェイ」、これもまた個性の強い変でハードな曲で、妙なエフェクトを利かせたギターソロがこれまた癖になるんだよなぁ。不思議なもんです。変なコード展開で#1の次くらいに変。
#11「マイルストーン・リヴァー」、まさかここまで北欧メタル黄金期のようなバラードをしてくれるとは思ってもみなかった。'80年代のTNTを思い起こさせるのはこのバラードだけですが、これを歌うミルズに関して、本当にハーネルそっくりに歌いこなす人だな、と思える。この確かな力量だからこそロニー・ル・テクロが入ってほしいと思うほどものなんでしょうね。
#13「レッツ・パーティ・ミルズ」はミルズの自己紹介。これはiPodに入れなくていいや。しゃべってるだけだしな。

新生TNTの幕開けとなった新作は、これでまさしく音楽性も新境地へと踏み出した。
ハーネルがいないからといって、それでも前進しているこのTNTには未来があるのは確かであり、その軌跡の一枚となった本作は当然オススメの一枚。
せめて曲純さえ違えばもっと良かったのになあ、と思いました。オープニングナンバーはもうちょっと違うのにした方が、と。
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2007年09月02日

洋画:おまけつき新婚生活


1993年米。同居人の奇行と追い払う挑戦を描いたコメディ。
原題・・・Duplex
監督・・・ダニー・デヴィート

アレックス(ベン・スティラー)・・・作家
ナンシー(ドリュー・バリモア)・・・アレックスの妻
コネリー夫人(アイリーン・エッセル)・・・100を越えた老女
チック・・・作家、実は殺し屋
ダン・・・警察官

<あらすじ>
マイホームを探すアレックスとナンシーは、興味をそそられる家が見つかったのだが、それは2世帯住宅で、コネリー夫人という100を越えた老女が住んでいた。今の大家も出て行ってほしがっていたが、それがなかなか出て行ってくれないという困った事態であった。しかしそのその家に一緒に住むのも抵抗があるが、もう老い先短い老人と住むなら、とよこしまな考えをして、その家の大家として契約し、一緒に住むこととした。
しかし困ったことに老女らしい好き放題な振る舞いにはアレックスは手を焼き、原稿も滞るはめになってしまった・・・。

オススメ度:☆☆☆

ベン・スティラー映画としてはまあまあです。笑えるコメディです。
老女が脱ぐところとか吐瀉物が飛び散るとか、もう酷い撮影効果で、ちょいと引く感じで観てました。
こういうおまけつきの家と契約しては絶対ダメというのはわかりました。迷惑な住人というのはどこにでもいる話ですし、とくに迷惑おばさんなんていう笑えない珍犯罪事件があるくらいですから。法律的にも、家を貸す側としては退去して貰うのに「出て行ってくれ」というだけでは出て行かないでいいらしいですからなぁ、住居は生活必需品だからという理由ですから。こういう珍騒動を起こしている人まで追い出しづらいというのは、結構な迷惑な話ではあります。
とりわけ素晴らしいというもんでもないんですが、この映画のオチは良かった。これが全て持っていってくれます、イイ感じの映画でした。
posted by しょうへい at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする