冲方丁(うぶかた・とう)著、「マルドゥック・スクランブル -The First Compression- 圧縮」。第24回日本SF大賞受賞作品。死に際で救われた少女娼婦バロットは、自分はなぜ殺されなければならなかったのか。ネズミ型万能兵器ウフコック、まだら髪のドクターらと共に事件を追ってゆくうちに、巨大な組織が背後にいることをしることになる。SFハードボイルドアクション。
大賞受賞作品ということもあって、濃密で非常に面白い作品です。言葉の韻を踏ませる象徴的なシーンも登場人物もストーリーも文体も、これらはほとんどの点において気に入った小説の一つです。最初の方の文章はいまいちかな、と思っていたけれど、進むに連れてどんどん筆がのってくるというか、読んでいる方も心地よくなってくる、そしたらあっという間に読み終えてしまうことが出来てしまう一冊でした。
とうぜんこういうハードSFには飛行車もガンアクションもしゃべる動物型ロボットもあり、その上ハードボイルド。当然ルビはカタカナでびっしりときまっている。このSFという世界にどっぷり浸からない理由が見つからないくらいいい作品でした。
事件の複雑さも非常に面白いのが、事件を起こす度に記憶を洗浄するシェルという事件屋の設定。こういうストーリーの設定って面白いと感じます。こいつと組むのが、また悪そうなボイルドという男。もうみんなキャラクター個性的で、最後の方についに出てくるアクションシーンがあるんだけれど、そこでのキャラクターらも気色悪いの勢揃いな上にアクションかっこいいし、もう惚れてしまう一冊です。
忘れてならないのは、心を閉ざした中心人物バロットと、それを手助けするウフコックの関係で、この二人が本当にいいケミストリーを作り出している。
この作品には、ぜひこの1枚のアルバムをBGMにしていただきたい。チルドレン・オブ・ボドムの「アー・ユー・デッド・イェット?
静かな曲もこの1冊には欲しかったのですけれどね。ただジャズとかフュージョンではないよな、って思います。ハードな楽曲がぴったりくる1冊です。
マルドゥック・スクランブルは3分冊ですし、この続編マルドゥック・ヴェロシティも発表されました。僕は今年、SFを大量に読もうと思います。SF好きならこのシリーズは全巻必読ですね。おすすめします。

